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  • (2018.3.20) ゼミ生8名が卒業しました。

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 山口大学人文学部言語情報学乾研究室のホームページです。

 専門は言語学 (Linguistics)です。その中でも特に言語類型論 (Linguistic Typology)的アプローチをしています。世界には6千を超える言語が現存していますが、言語構造的には話し手が少ない弱小言語であっても大言語のそれと全く変わりはありません。それらの言語をできるだけ多く観察することを通して、言語の普遍性を探究しています。まさに言語学の永遠のテーマは「言語の多様性と普遍性」ですね。
 もう一つ重要な研究テーマとして、1992年以来東部アフリカのエチオピア連邦民主共和国にフィールドワークに出かけています。エチオピアで話されている言語は全部で80を越えます。言語の家族を表す語族でいうと、エチオピアにはアフロアジア語族に属するセム系、クシ系、オモ系とナイロサハラ語族の言語が話されていると言われています。しかし、調査があまり進んでいない言語も多く、系統関係に関してもまだよくわかっていないのが実情です。ここ数年毎年、その中のオモ系の少数言語の記述調査を行っています。オモ系もその系統的位置づけがまだよくわからないグループです。エチオピアに限ったことではありませんが、少数言語の多くはちゃんとした文法書もなければ辞書もありません。つまり文字がないのです。全部頭の中にあって、それが代々引き継がれています。そういった少数言語話者たちのために、母語教育教材開発へ向けて具体的な取り組みをすることが最近の研究テーマの一つです。

 言語情報学コース(学生の間では言情<げんじょう>と呼ばれている)は、今年度までで、乾ゼミ生は4年生7名、3年3名です。言情の学生気質は、賑やかで騒がしいことで、どういうわけか代々引き継がれていきます。飽くなき好奇心がパワーの源になります。卒論のためにわざわざ海外に言語調査に行く学生もいます。
 今の3年生からは学部の組織が変わり、装いも新たに「言語学研究室(言語学分野)」として動き出しました。新制度では3年生からいきなりゼミ所属になり、同時にコース所属にもなります。どういうわけか、意に介せず、欧米言語文学コースに放り込まれてしまいましたが、しかし学問としての「言語学」の研究内容が変わるわけがありません。新しい制度は定着するのに時間がかかりますし、導入時の多少の混乱は致し方ありません(初年度は、深く考えず2年間を過ごしてしまった学生が多かったようです。)。3年の終わりには就活が始まりますので、実質的な授業は3年生までです。したがって実は2年生が最も大事な時期です。言語学に興味を持った人は、早めに方針を決めて、2年前期から計画的に授業を取ることをお勧めします。新しい制度では本来専門で教えていた授業が「分野入門」や「リテラシー科目」の中に入ってしまっています。言語学に関して言うならば、「分野入門」では「言語学概論(音韻・形態・統語)」「言語学概論(意味・類型・歴史)」と「言語類型論」、「リテラシー科目」では「音声学」「情報処理(言語情報)」「論理」「言語と人間」「言語構造と精神世界(来年度より)」となります。
 ゼミ生は4年生になると卒業論文を書くため、それぞれ自分の研究テーマを決めなければなりません。言語学の基本的な研究分野は音韻論、形態論、統語論、意味論、それに言語類型論、歴史言語学、社会言語学などです。もちろん地域が限定されているわけではありませんので、自分で好きな言語・方言を研究すればかまいません。しかし、一番大事なことは、ある特定の言語だけ、あるいはある特定の分野だけにこだわるのではなく、ひとつの言語を対象にする場合でも、その背後に世界にある何千という言語を意識し、またある分野をやる場合も言語学全体に興味を持つことです。
 また、言語学の対象言語は日本語やヨーロッパの言語(英語・ドイツ語・フランス語)や中国語だけではありません。いろいろな言語に関心を持つことはこれからの国際人の常識ではないでしょうか。ゼミ生の中には今まで勉強したこともないマイナーな言語や日本の方言調査を研究テーマに選んでいる学生もいます。
 大学というのはアカデミックなところで、研究するところです。卒業してからでも勉強できそうなことをするのではなく、大学でしかできない研究というものを探してみましょう。チャレンジするからおもしろいのです。一見、実社会で意味のないようなことが実は本当の学問の楽しみだったりします。