最近の研究

バスケト語

 エチオピアで話されているオモ系の少数言語バスケト語(Basketo)の文法記述を中心に、少数言語の記述研究を行っています。
 バスケト語の調査を始めてから、もうかれこれ8年ぐらいになります。言語調査はその言語が話せれば誰でも良いわけではありません。日本語で考えれば明らかですが、日本語を話せる人が全員日本語のことを的確に答えられるわけではありません。ことばのセンスのいい人(言語学ではインフォーマント(Informant)あるいはコンサルタント(Consultant)と呼んだりします)を見つけるのがフィールドワークの最初の仕事です。
 いくらセンスが良くても、すぐには思うように調査は進みません。こちらはその言語について殆ど何も情報を持っていないのですから。「これは何?」式に一つ一つ単語を調べていき、その言語で使われている音(言語学では音素といいます)が何であるかを突き止めることから始まります。その過程でインフォーマントも徐々にこちらが何を質問しようとしているのか判るようになり、ある段階からは調査がスムーズに進むようになります。
気の遠くなるような作業ですが、これはちょっとやみつきになる仕事です。焼き肉で言えば、骨付きカルビですね。自分でその言語の文法を構築する作業の中には、他の研究には代え難い魅力がいっぱい詰まっています。
エチオピア諸語の記述研究(要パスワード)
研究成果としては、2004年度よりCushitic-Omotic Studiesを毎年刊行しています。
言語データはGISサーバに保管しています。

GIS

 GIS(Geographical Information System:地理情報システム)というのをご存じでしょうか。カーナビのGPSなら最近有名ですが、デジタル地図を研究に利用することです。言語学でも言語地図というものが存在します。方言だったら方言地図ですね。人はじっと同じ場所にいるわけではないので、厳密な意味では言語地図というものは作れませんが、それでも日本列島には日本語が話されているし、お隣韓国では韓国語が話されています。つまり世界言語約6千は地球上のどこかで主に話されているわけです。その言語分布と言語構造との因果関係を調べるために、ここ数年GISを用いた言語類型地理論的研究にも取り組んでいます。集めた言語データをウェブ上でデジタル地図を用いて検索できれば、ある言語特徴の分布が手に取るように解るようになります。もう少しでできるところまで来ていますが、まだ公開するところまでは至っていません。
言語類型地理論的研究(要パスワード)
GISを用いて世界言語のデータベースを構築し、ウェブ上で検索できるシステムを構築するための準備を現在行っています(基本語順、音素データ)。

最近の研究成果

科研費・論文
最近採択された科学研究費の一覧及び過去5年間の研究業績一覧です。